Carson Wentzを考える
今回は、INDで2シーズン目となるWentzが今後どうなるかについて考察していきたいと思います。と思っていたのですが、まさかまさかの電撃トレードが報じられました。
Colts agree to trade QB Carson Wentz to Commanders. (via @RapSheet) pic.twitter.com/G5RZDbC5mK
— NFL (@NFL) 2022年3月9日
そこで、今回はWentzトレードの報と併せて、Carson Wentzという選手について考察していきたいと思います。
目次
Wentzのトレードについて
今朝突如、WentzのWASへのトレードが電撃的に報じられ、まさに寝耳に水といった感じでした。
まずは、今回のトレードの内容から。
・コルツ
22年3巡
23年条件付き3巡(70%以上のプレーで2巡へ)
22年2巡
・コマンダーズ
Wentz
22年2巡
先日のWilsonのトレードの後でこの対価を見ると、正直かなりショボいですね。結果だけ見れば、コルツは大損したことになります。なにせ、3巡+1巡で買ったものが3巡+条件付き3巡へと値下がりしてる訳ですからね。
一方で、今回のトレードに際し、コマンダーズがWentzのサラリーを全て引き受けてもらえることになりました。そのため、コルツとしては、Wentzをトレードに出したことで、Wentzのキャップヒット28.3Mが浮き、69.8Mもの潤沢なサラリーキャップを得ることとなりました。
これを元手にトレードやFAでQBを探すのか、はたまたドラフトでQBガチャを回しに行くのか、そこら辺はまだほとんど情報がありませんが、それはまた別の機会に触れられればと思います。(追記:Matt Ryanが来ましたね笑)
WentzとオーナーIrsayの確執
ここでは、今回のトレードの経緯について、Wentzはたった1年でコルツを去ることになった訳ですが、そこにはどのような事情があったのでしょうか。
そもそも、今回のWentzのトレードは、実は前々からその兆候は現れていました。
3月初めに行われた会見で、コルツGM BallardはWentzについて「じっくり検討する」と述べており、Wentzの続投については明確にしていませんでした。そうしたことから、Wentzのトレードやリリースの噂はかねてより囁かれていました。
それが今回、コマンダーズとのトレードという形で現実の形となった訳です。
正直Wentzがコルツでのこの1年間、パフォーマンス面で精彩を欠いていたことは否定できないため、トレードに出されたこと自体は不思議ではありません。一方で、次のQBが決まっていない中でのWentzトレードはいささか急すぎたのではという意見もあります。ところが、今回のWentzトレードに関して、Wentzのプレー面での問題だけでなく、どうにもコルツオーナーIrsayとの確執もあったように思えます。
実は、シーズン序盤から、Wentzのリーダーシップの欠如やコロナワクチン未接種であることに、Irsayは不満を持っていたようです。また、コーチ陣の指導に対してもWentzが反発する部分もあったようです。加えて、最終週のジャガーズ戦での敗戦も、Irsayの不満を後押しする結果となりました。
Wentzはこうした誤解を解こうと、Irsayに対して面談を申し入れたそうですが、Irsayはこれを断ったとのこと。これに関しては、ただIrsayが街を離れていたからだと後に釈明されていますが、いずれにしてもIrsayが Wentzに対して不満を持っていたことは間違い無いでしょう。もし仮に今回のトレードがなかったとしても、Wentzとは袂を分つことになっていた可能性が高かったと思います。
Wentz評
ここでは、Carson Wentzを1年間見てきたの個人的な印象について触れたいと思います。
Wentzという選手については、以前このブログで考察しました。こちらも併せてご参考ください。
Wentzのコルツでのこの1年間についての私個人の率直な感想は、「Wentzで負けた試合はあっても、Wentzで勝った試合はなかった」です。
Wentzのこの1年間のパフォーマンスは全部が全部ダメだったという訳では決してなく、良かった部分も多くありました。ただ、勝った試合の多くはTaylorによるところが非常に大きく、結果的にWentzの貢献は薄い印象となってしまいました。(「Wentzで勝った試合はなかった」は流石に言い過ぎ感もありますが笑。)一方でシーズン中盤のタイタンズ戦や最終週のジャガーズ戦などは、Wentzのパフォーマンスが敗北の大きな要因となっていたことは否定できず、彼が試合を壊してしまった場面が少なくなかったのも事実。そうしたことから、「Wentzで負けた試合はあっても、Wentzで勝った試合はなかった」というのが率直な印象です。
(出典:Carson Wentz Stats, News, Bio | ESPN
スタッツで見ると、そこまで悪くはない印象です。特にTD数はリーグ全体で見ても良い成績です。ただ、前述したように、敗北時の圧倒的な印象の悪さから、実際以上に悪く見えてしまいます笑。
最悪と言われていたイーグルスでの'20シーズンと比較すると、'21シーズンの成績は大きく回復したと言えます。ただ、キャリア全体で比較すると、大きな伸びは見られず、正直Wentzという選手の天井が見えたかなという印象です。
'21シーズンでのWentzの良かった点は、彼の機動力。彼の機動力で状況を打開できた場面も少なくなく、'20シーズンのRivers時代には無かった大きな武器となっていました。また、Wentzはプレースタイル的に、Taylorを主軸としたRPOオフェンスに噛み合っていた点も良かったかなと思っています。
一方悪かった点は、まずパス成功率が低いこと。正直成功率は65%は欲しかったです。コルツのオフェンスがTaylorのラン主軸であった以上、パスは一つ一つの成功率が非常に重要にだったかなと思います。また、パス成功率が低く、コンスタントにパスでゲインできなかったために、結果的にはいつものTaylorのラン止められたらジリ貧オフェンスになってしまっていたかなと思います。(もちろんWentzだけの責任では決してないですが)そしてもう一点悪かった点は、とにかく無茶なプレーが多かったこと。特にプレッシャーがかかると片手でトスしようとする癖は最後まで抜けず、これによって試合が壊れた場面も少なくありませんでした。これはもう本人の性格的な問題によるところだと思うので今更矯正はできないだろうと思いますが、これによる弊害が結果として出てしまっているので、この点は悪かったかなと思います。
総じて、良かった部分も多く、悪いだけでは決してありませんでしたが、Wentzで今後プレーオフやスーパーボウルを目指すのは厳しかったかなという印象です。
最後に
今回はWentzトレードの報に際して、Wentzについてコメントしていきました。私自身Wentzのことは応援していたので、残念な形となりました。コマンダーズでは、心機一転活躍してほしいなと思います。かつての古巣イーグルスと同地区というのも面白いなと思います。
改めて、Wentzのこの1年間の感謝と今後の活動への期待を込めて。
今回は以上です。最後までありがとうございました。