コルツキングダム 〜NFLコルツファンブログ〜

にわかNFLファン、コルツ大好きマンが私見で色々書いてきます。Twitterアカウント: https://mobile.twitter.com/VzEtq2cGdOUzYsE

Gus Bradleyによる新ディフェンスを考える

f:id:jajacoby:20220310001136j:image

コルツの新DCに前LVのDC Gus Bradleyが就任したことは既に周知の事実かと思います。これに伴い、コルツディフェンスは新たなスキームとなるでしょう。そこで、今回は彼がもたらす新ディフェンススキームについて考察し、今後コルツディフェンスがどのような形となるのかを考察していきたいと思います。

 

Gus Bradleyという人物

まずは、Gus Bradleyという人物について。

'09〜'12シーズンにSEAのDCを務め、'12シーズンでは平均喪失ヤード306.2yd(リーグ4位)、平均失点15.3(リーグ1位)という見事な成績を記録。かの有名なLegion of Boomの立役者。その後、HCとなったJAXでは大成しなかったものの、以降LAC、LVとDCを歴任し、いずれも好成績を収めています。

彼のスキームの特徴は、LEOを用いた4-3、1high Cover3などといったものが挙げられ、ブリッツを多用するよりは、4メンラッシュでプレッシャーをかける方が好みだと思われます。

 

新DC Gus Bradleyがもたらすもの

では、次にBradleyのDC就任によってもたらされるディフェンスについて考察していきたいと思います。

Bradleyは先述した通り、4-3の使い手なので、昨年同様4-3は維持ということになるでしょう。個人的に選手層的にINDでは4-3の方が適していると思います。チーム・フロントの意向としても同様だったように思われ、今回の新DC Bradleyという人選はそこの部分も踏まえてのものだったのではないでしょうか。

さて、現状のコルツディフェンスの最大の課題はパスラッシュにあり、新DC Bradleyにまず求められるのも、このパスラッシュの改善、強化でしょう。

Bradleyに関しては、先にも述べた通り、ブリッツを多用するよりは、4メンラッシュでプレッシャーをかける方が好みだと思われます。以下は、直近のBradleyディフェンスのブリッツレートです。

 

2018 17% (30th)
2019 13.7% (32nd)
2020 16.3% (32nd)
2021 12.1% (32nd)

 

どの年も非常にブリッツのレートが低いことがわかります。この点、これまでのINDディフェンスの直近のブリッツレートのランクも、27th (2021), 31st (2020), 27th (2019) and 29th (2018)となっており、これと比較すると、ブリッツレートが低いという点では共通していると言えます。しかしながら、INDはパスラッシュにおけるプレッシャー率がリーグワーストレベルであったのに対し、Bradley指揮下の昨年のLVディフェンスは、プレッシャー率でリーグ15位を記録しています。もちろんパスラッシャーのタレント力の違いという点もあるでしょうが、Bradleyの手腕には大きく期待したいところです。Bradley本人は記者会見でブリッツに関しては、「必要ならば使う」と述べているものの、INDでいきなりブリッツを多用するという可能性は考えにくく、4メンラッシュでプレッシャーをかけていくというのが基本路線となるでしょう。

 

LEOがカギ

Bradleyのディフェンスにおいて、非常に重要な要素の一つが、LEOでしょう。ここではLEOについて紹介し、考察していきたいと思います。

LEOとは

LEOとはディフェンスのポジションの一つで、よくDEとOLBを合わせ混ぜたポジションのようと言われます。基本的にはウィークサイドの大外にセットし、そこからパスラッシュして相手QBにプレッシャーをかけるのが仕事です。

通常の4-3では、両DEは左右固定である場合が多いのに対し、LEOディフェンスでは、役割によってセット位置が決まる点で異なります。

前述した通り、LEOは基本的にウィークサイドの大外にセットし、そこからパスラッシュして相手QBにプレッシャーをかけるのが、第一の仕事です。そのため、2ポイント、3ポイントあるいは4ポイントセットを問わず、LEOは相対するOTと1on1で打ち勝ち、プレッシャーをかけることが求められます。また、フロント全体としても、LEOがOTと1on1の勝負ができるようアライン等が工夫されています。例えば、下図では(ディフェンスから見て)左サイドに他のDLを固め、LEOのセットしている右サイドにスペースを開けてアラインさせることで、LEOがOTと広く1on1の勝負をすることができるようになっています。

f:id:jajacoby:20220309185926j:image

(出典:

https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www.si.com/nfl/colts/.amp/film/gus-glossary-leo-position%3Fusqp%3Dmq331AQIKAGwASCAAgM%253D

 

このように、LEOの第一の仕事はパスラッシュですが、パスラッシュだけこなしてれば良い訳ではありません。ウィークサイドのランに対しては、LBのサポートが薄いため、LEO自らが楔を打ち込み、ランストップすることが求められます。

 

LEOに求められる素質・能力

LEOというポジションの概念については、上記の通りです。ここでは、LEOポジションをこなすために求められる素質や能力について説明します。

LEOに求められるのは、次の2つです。

①  Length

②  Burst

 

まず、①について、これは特に腕の長さです。近年のNFLでは、体格も大きく腕も長いOTが多く、そうしたOTたちと1on1の勝負をするLEOにも、腕の長さが求められるという訳です。

そして、重要なのが②のBurst。これは日本語訳するの難しいんですけど、勢いとか突破力とかスピードとかクイックネスなどといったイメージでしょうか。LEOの第一の仕事であるパスラッシュや、スクリメージライン付近でプレーするためには必要不可欠な能力です。

上記①、②は基本的にはDEに求められるものでもあります。しかし、一般的なDEと比べると、LEOには体格よりもスピードやクイックネスの方がより重視されます。

 

誰がLEOをやるのか

ここまで、LEOについて説明しました。さて、問題はBradleyのもとで、このLEOというポジションを誰が担当するのかという点です。

この点、現状第一候補に上がっているのが、昨シーズンのドラ1DE Kwity Payeです。私自身、LEOにはPayeが適任なのではないかと思っています。

Payeは6'2"、261ポンドとリーグの中では小型のDEで、腕の長さもそこまでです。しかし、スピードやクイックネスに関しては、DEの中でも優れたものを持っています。この点、LEOの素養がありそうです。

肝心のパスラッシュ能力ですが、シーズン序盤こそ苦戦していたものの、後半からは伸びを見せ、4サック、16プレッシャーを記録しました。LEOとなれば、彼の強みであるスピードやクイックネスをより活かすことができるため、PayeはLEOとして大成することができるかもしれません。

また、Payeはランストップの面では、コンスタントに活躍を見せていました。LEOには高いランストップ能力も求められますが、この点でもPayeはLEOに適した素養を備えていると言えそうです。

このように、PayeはLEOとして起用されることで、さらなる活躍を期待できるのではないかと思います。BradleyがPayeをどのように起用するかは注目です。

ちなみに、Payeの他には、Banoguや TurayがLEOの候補となるでしょうか。

 

パスカバー

Bradleyのパスカバーの特徴は、1high、Cover3メインのカバーであるといえます。SEA時代、かの有名なLegion of Boomを築き上げました。今年はこのカバースキームの割合が増えることが考えられます。

この1high Cover3というのは、個人的にはDBの個の力が強く求められると考えています。まず、Cover3の場合、WRの縦のルートに対しては、原則CBが 1on1で対処する必要があります。この点、1on1の勝負に弱い現状のINDのCBたちでは不安です。また、1highではFSも広い範囲をカバーする能力が求められます。現FSのBlackmomは典型的な2highタイプのFSなので、1highのスキームにどこまでフィットするかは疑問です。一方で、SSのWillisはランストップに優れた典型的なSSタイプなので、1highのスキームにフィットするでしょう。

Bradleyの1highの功績は、SEA時代の最強DB軍団の存在も大きく、現INDのDBたちでそれを再現できるかは疑問です。しかし、昨シーズンまでミドルゾーンのパスにやられることも多かったため、上手くいけば、今回の1high Cover3メインのカバーへの移行が、その解決策となるかもしれません。

 

総評

Gus BradleyはINDのディフェンスを建て直す使命を与えられ、INDへとやってきました。その手腕には要注目です。

ところで、建て直しとは言ったものの、実際INDのディフェンス陣は、今年各ポジションからプロボウラーを排出しており、戦力としてはそこまで悪くはないと思っています。この点、Bradleyも各ポジションでのリーダーシップを常に求めており、各ポジションにプロボウラーを有するINDの現有戦力に対しては好意的に捉えているようです。特にBucknerについては、「あのような3テクがいることは、非常に良い基盤となる」と評しています。

 

Bradleyは「優れたディフェンスとは試合結果にある程度の影響力を持つものだ」と述べています。そして、「私たちがやろうとしていることはまさにそうしたディフェンスを築き上げることだ」とも述べています。戦力的に粒揃いのディフェンス陣を有しながら、INDディフェンスが昨シーズン大きな成果を上げれなかったのは、まさにこの「試合結果への影響力」が足りてなかったからだと思います。Bradleyには、INDの現在のロスターに自分のスキームを取り込みつつ、選手の長所を最大限に生かすことで、影響力のあるディフェンスを築き上げてほしいと思います。

期待しています。

 

今回は以上になります。ありがとうございました。

 

参考記事

https://www.si.com/nfl/colts/news/colts-dc-gus-bradley-add-to-defense

https://www.si.com/nfl/colts/news/colts-kwity-paye-leo-gus-bradley

https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www.si.com/nfl/colts/.amp/film/gus-glossary-leo-position%3Fusqp%3Dmq331AQIKAGwASCAAgM%253D

https://coltswire.usatoday.com/2022/02/13/indianapolis-colts-gus-bradley-not-opoosed-blitz-defense/