2021 W1 コルツ vs シーホークス レビュー
コルツ 16 ー 28 シーホークス でコルツ完敗
残念ながら開幕白星スタートとはなりませんでした。開幕戦で勝てないことで有名なコルツ。開幕戦負けはこれでなんと8年連続とのこと。結局今年も黒星スタートとなってしまいました。
それでは以下レビューです。
スタッツ参照
https://www.espn.com/nfl/matchup?gameId=401326318
https://www.pro-football-reference.com/years/2021/advanced.htm
総評
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | ||
コルツ | 3 | 7 | 0 | 6 | 16 |
シーホークス | 7 | 14 | 0 | 7 | 28 |
前半はディフェンスがシーホークスオフェンスを止めることができず、3TDを許してしまいました。一方で後半はディフェンスが締め直し、3Qを無失点に抑えるなど踏ん張っていたものの、今度はオフェンスが停滞してこれを援護できず。そうして集中が切れたのか4Qで再びTDを許してしまいました。そして、これがほぼ決定打となってしまい、結果そのまま敗北となってしまいました。昨年と同様の得点力不足での負けパターンですが、総じてオフェンス・ディフェンス共に全体を通して出来の良い内容ではありませんでした。どうか、この出来がいつもの開幕戦スロースタートによるもので、決して本来のチームの実力ではないことを願うばかりです。
オフェンス
Total | Rushing | |||
YDS | AVG | YDS | ATT | AVG |
336 | 4.7 | 113 | 30 | 3.8 |
Passing | ||||
YDS | C/ATT | AVG | INT | SACK |
223 | 25/38 | 6.6 | 0 | 3-28 |
QBが変わったことでどのようなオフェンスになるのか楽しみにしていたのですが、ほとんど去年と似たようなものばかりで、正直少しがっかりしました。大げさに言えば、「Taylorにハンドオフする人が去年と変わっただけ」でした。
総じて、この試合でも得点力不足でした。特に後半は、プレッシャーによってパスを投げることができず、さらに頼みのランまで止められてしまったことでオフェンスがじり貧になってしまう、という昨年と同様のパターンでした。いつになったら点の取れるオフェンスになるのやら…。
ラン
Rushing | |||||
CAR | YDS | AVG | TD | LONG | |
Jonathan Taylor(RB) | 17 | 56 | 3.3 | 0 | 12 |
Nyheim Hines(RB) | 9 | 34 | 3.8 | 0 | 8 |
Carson Wentz(QB) | 4 | 23 | 5.8 | 0 | 8 |
ランはほとんど出てなかった印象です。試合の一番最初のドライブこそランで上手く進められていましたが、それ以降はほとんど止められてしまいました。シーホークスの1列目にOLが押し込まれてしまっていた上、LBやSS Adamsのランストップも良かったので、厳しい内容となってしまいました。
エースTaylorが56yd、Long 12ydと物足りないスタッツ。ですが、ロスタックルになってもおかしくない場面でも無理やりゲインにつなげたり、ランでのフレッシュ獲得も多いので、この試合でも頼りになっていました。予想通り、今年もTaylor様様オフェンスになりそうです。
Hinesは、34ydとラッシングヤードは控えめです。もう少し欲しかった気もしますが、彼はただ走るだけのRBではないので、まあこんなものかなと思います。
パス
Receiving | ||||||
REC | TGT | YDS | AVG | TD | LONG | |
Jonathan Taylor(RB) | 6 | 7 | 60 | 10.0 | 0 | 15 |
Nyheim Hines(RB) | 6 | 8 | 48 | 8.0 | 0 | 19 |
Zach Pascal(WR) | 4 | 5 | 43 | 10.8 | 2 | 16 |
Michael Pittman Jr.(WR) | 3 | 4 | 29 | 9.7 | 0 | 14 |
Mike Strachen(WR) | 2 | 2 | 26 | 13.0 | 0 | 16 |
Parris Campbell(WR) | 1 | 3 | 24 | 24.0 | 0 | 24 |
Jack Doyle(TE) | 3 | 4 | 21 | 7.0 | 0 | 9 |
Mo Alie-cox(TE) | 0 | 2 | 0 | 0.0 | 0 | 0 |
Wentz加入でパスがどこまで進化するか期待していましたが、期待していたほどの進化はありませんでした。
スタッツ的にはそこまでのような気もしますが、スクリーンパス込みの数字。実際のところパスはそこまで良くなかったかなというのが個人的な印象です。パスが決まらないのでリズムが作れず、結果オフェンス全体が停滞してしまいました。
パス不調の最大の原因はOLのプロテクションが悪かったことです。控えLT Davenportが案の定やられただけでなく、他のスターターOL陣までも度々やられ、結果3サック、QBヒット4。それ以外にも、まともにパスを投げられなかった場面も多かったです。また、シーホークスのパスカバーに上手く対応されてしまい、ターゲットを探すのに時間がかかった点も、上記の結果の手助けとなってしまいました。その結果、ほとんどスクリーン頼みに。いくらスクリーンが多かったからといって、チームのレシービングヤードトップ2がRBというのは何とも悲しくなります…。チームのラッシングリーダーもレシービングリーダーも両方Taylorということで、いかにコルツがTaylorのマンパワーに依存したオフェンスであるかが分かりますね…。
上記でパスの不調の最大の原因にOLのプロテクションを挙げましたが、個人的には原因はそれだけではないと思っています。そもそも控えLTに不安があるのは最初から分かっていたこと。であれば、TEをパスプロのヘルプにつける(後半は多少やっていました。それをやってしまうと得意のWest Coatsオフェンスと矛盾するというのはありますが…)、もっとクイックなパスを増やす(個人的にはRPOチックのクイックなパスが増えるかなと思っていましたが、そこまで多く無かったように思います。)など対応策はあったはずです。しかし、そういった対応があまり見られず、あったとしても後半からで後手の対応。また、通常のドロップのパスやPAパスのパッケージも、何となく教科書的な印象なんですよね。こうした意味ではHC Reichはじめコーチ陣の問題もあるかなと思います。さらに、多少カバーされていても個の力で打開できるWRがいれば話は変わってくるのですが、残念ながらそんなWRはコルツにはいません。そうした点ではWRの力不足も一つの要因として挙げられるでしょう。総じて、この試合では上記のような要因が合わさって、パス不調となってしまったと思います。
・昨年と変わった点
ここまでさんざん愚痴ってしまいましたが、ここで、昨年と変わったかなと個人的に気になったポイントを紹介したいと思います。
まずはBootsパス。昨年はおじさんRiversでしたが、今年は機動力のあるWentzなので、やはりBootsパスが多くなっていました。ただ、読まれすぎて投げる前からプレッシャーをかけられてしまう場面も多かったです。使い所は工夫する必要がありそうです。
もう一点は、Empty隊形。昨年にも使われていましたが、今回の試合を見たところその使用割合が増えたかなという印象です。よりクイックなパスでの展開を狙っているのでしょうか(であればもっとRPOチックのパスも増やした方がいいのではと個人的に思いますが)。この試合ではOLのプロテクションが悪くてそれどころではなかったですが…。まあ、多少プレッシャーがかかってもWentzならという部分もあったのかなと思います。Emptyで大きな役割を果たすのがHines。レシービング能力に長けたユーティリティーな存在で、この試合でも大外の位置でショートのパスをキャッチしていました。彼を上手く使えるとより面白くなるかなと思います。
・Wentz
Highlights from Carson Wentz’s debut as #Colts new QB1: pic.twitter.com/gsgqXzrgXW
— Locked On Colts Podcast (@LockedOnColts) 2021年9月13日
スタッツは上記の通り。成績的にはまずまずの出来かなという印象です。Wentzがコルツに来て初の実戦でしたが、OLのプロテクションが決して万全ではない中でのスタートとなってしまいました。しかし、クリーンポケットではしっかりとパスを決めれていましたし、プレッシャーの中でもパスを決めることも出来ていました。まだ1試合のみですが、今回のWentzの印象についてコメントしていきます。
まずは良かった点。一つ目は機動力です。やはり機動力はあるに越したことはないですね。Bootsパスも可能となりましたし、スクランブルで打開する場面も見られました。これと関連していますが、二つ目はプレッシャーの中でもある程度パスを投げられる点です。やはりこの能力は非常に高そうですね。この試合では失敗となってしまうことも多かったですが、試合を重ねてターゲットとタイミングが合うようになれば、成功率は上がってくるかなと思います。3つ目は肩が強い点です。Easonほどではありませんが、Wentzも肩が強く、球速の速い球を投げ込めていました。
一方で悪かった点は、一つ目はパスの精度がそこまで高くない点です。特にロングやミドルのパスで若干オーバースロー気味かなと思いました。前々からの傾向ですが、久しぶりの試合である点、ターゲットとのタイミングが完璧ではない点を考慮すれば、今後多少の改善もみられるかなと思います。もう一つ悪かった点は、若干持ちすぎかなという点です。これも前から言われていたことですが、この試合でも個人的には若干持ちすぎかなという印象を受けました。もちろんターゲットがフリーになっていない等ありますが、Wentz側にも多少の問題はありそうです。ただ、これに関しては他の試合も見てみないことには現状何とも言えないといった感じです。その他ボールセキュリティやスニークでのエクスチェンジミスなどしょうもないミスはありましたが、久々の試合ということで大目に見れるかなと思います。
総じて今回のWentzのプレーは、気になる点もあったものの、今後に期待できる内容だったと思います。特にOLが万全になればまだまだ伸びしろは十分あると思います。ひとまずもう少し試合を見て見守っていく必要があるかなと思います。
・WR
相変わらずパッとしない結果となりました。ただ、Pascalは2TDと要所で良い活躍をしており、今後も頼りになりそうです。Strachenは2REC、26yds。どちらもフレッシュ獲得のパスだったので、プロ初実戦という点も考慮すればまずまずの結果と言えるのではないでしょうか。Campbellは一つロングの良いレシーブを見せていたので、今後にも期待したいなと思います。ひとまず次の試合まで様子を見守りたいと思います。
・TE
こちらも相変わらずパッとしない結果でした。ErtzのようにWentzの相方となれるようなレシービングTEが欲しいところですが、そのような人材がシーズン中にポッと出てくるはずもないので、現有戦力に期待するしかありません。今年こそAlie-coxは去年のプチブレイクをブレイクに変えてほしいなと思いますし、Doyleもまだまだやれるでしょう。Gransonも見たところランブロックは全然良くなかったので、せめてレシービングで活躍してほしいなと思います。
・パスプロ
前述の通り、良くない結果となってしまいました。サック3,QBヒット4。控えLT Davenportに不安はありましたが、案の定やられていました。2サックは彼によるものかなと思います。まあこれはある程度予想はしていましたが、予想外だったのは他のOL陣もやられていたことです。Smithは怪我の影響もあったようですが、Dunlapに苦戦していましたし、Kelly、Growinskiもしばしば中から漏らしていました。久々の試合だったことに加え、コルツお馴染みの開幕戦スロースタートによるものでしょう(そうだと信じたい…)。OLが強いことがコルツの唯一の強みなので、早くフルメンツになって万全の強固なOL陣を復活させてほしいです。(と言っていたら、次週はSmithがアウト。先が思いやられます…。まあこの話は次回のプレビューで。)
ディフェンス
Opp Total | Opp Rushing | |||
YDS | AVG | YDS | ATT | AVG |
381 | 7.2 | 140 | 27 | 5.2 |
Opp Passing | ||||
YDS | C/ATT | AVG | INT | SACK |
241 | 18/23 | 11.0 | 0 | 3-13 |
後半はシーホークスオフェンスを何とか抑えて踏ん張ってはいたものの、前半の3TDが大きく響いてしまったなという印象です。前半はラン・パスともにやられていましたが、これに関しては、タックルが甘いなどといったこちらのミスによるところもあったかなと思います。何とか食らいついてはいたものの、要所でビッグゲインを許してしまったことが、今回のディフェンスの敗因かなと思います。
ランディフェンス
後半は何とか抑えていましたが、前半は出されていました。前述の通り、タックルの甘さなどといったこちらのミスで余計にゲインされた部分もありました。その最たる例が、シーホークスの一番最初のドライブの3rd&1のシチュエーションで、RB Carsonにするっと抜けられて33ydもゲインされたプレー。これによってLockettへのTDパスにつながっているので、このロングゲインはかなり痛かったといえるでしょう。
一方で、ディフェンスのランストップ能力が昨年に比べてパワーダウンしていたかなという印象も受けました。ルーキーDE Payeはパワー不足感が否めません。また、MLB Okerekeもランストップにはまだ若干不安が残ります。やはりランストップに長けていたMLB Walkerが抜けたことが響いているなと感じました。
ちなみに、Sのランサポートは相変わらず良いなと感じました。Willis, Blackmon2人ともタックルが上手いですね。特にBlackmonは上りがとても速くて非常に良いランサポを見せていました。
パスディフェンス
相も変わらずパスに弱かったですが、それでも踏ん張ったほうかなと思います。正直もっとやられると思っていました。
・パスラッシュ
ラッシュはかかっているのかいないのか微妙な印象でした。Bucknerが1サックですが、やはりEdgeラッシュは物足りなかったです。AQMとLewisは何とも言えない出来。その点期待していたのがルーキーPayeでしたが、この試合ではあまり活躍出来ていなかったように思います。スピードやクイックネスは良いのですが、パワー不足感は否めませんでした。まあプロ相手に初戦からブレイクというのも難しいと思っていたので、試合を重ねながら成長していってほしいと思います。
とは言ったものの、現状コルツのパスディフェンスにおいてパスカバーに期待できない以上パスラッシュに頑張ってもらうしかありません。やはりEdgeラッシャーの台頭が不可欠です。Banogu、Turay、Paye、Lewis誰でも良いので頼む笑。
・パスカバー
昨年からの課題でしたが、この試合でLockettにぶち抜かれて2TDを取られたことで、改めて今年もパスカバーに課題があるのが明白になりました。この試合でやられることが多かったのはSS Willis。彼はディープカバーが得意なタイプではないので仕方ない部分もあるのですが、やはりもう少しパスカバー能力は欲しいところです。ただ、この問題は単純にDBが悪いからというだけの問題でもありません。
コルツはゾーンカバーの割合が多いディフェンスですが、そもそもゾーンカバーではどうしても空いてしまう・弱いゾーンができてしまいますから、ある程度パスを通されてしまうのは仕方のないことです。2つ目のLockettのTDも、こちらのカバー的にこうしたS間を抜ける縦のコースに弱く、仕方ないかなという部分もあります。
これカバー6だと思うけど(違ったら教えてください)、こういうS間のパスはキツイから仕方ない感もあるのかな。でもWillis(左のS)は一瞬外に振られてるから、やっぱりWillisがカバー出来なきゃいけなかったのかね。 pic.twitter.com/mqHQWlzmCA
— Jacoby 鰤 @三百人将 (@jajacobybribri) 2021年9月18日
残念ながらコルツには1on1で相手WRをシャットダウンできるほど強いDBがいないので、ある程度ゾーンカバーに頼らざるを得ません。そこで、パスラッシュをかけて相手QBにしっかりプレッシャーを与える、投げられたら素早くギャザーしてRACでゲインさせないといったことも重要になるかと思います。他方、ゾーンカバーのどうしても空いてしまう部分・弱い部分を埋めるのはDB・LBの個の力なので、DB・LBのカバー能力強化が必要不可欠であることは言うまでもありません。
とまあ、ここまでダラダラと長く書いてしまいましたが、要するに、奥ぶち抜かれるなということです笑。
スペシャル
特に言うことはありません。
まとめ
長々と書いてしまいました。繰り返しになりますが、総じて、この試合の出来はいつもの開幕戦スロースタートのせいだと思います。しかし、次週はラムズ、W3はタイタンズとこの先も強敵続きですから、スロースタートやっている場合ではありません。ということで来週以降はきっちりと出来の良い試合を期待したいと思います。
FOR THE SHOE !
最後まで読んでいただきありがとうございました。