コルツキングダム 〜NFLコルツファンブログ〜

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【選手特集】IND #2 QB Carson Wentz

今回は、新しく来年コルツの正QBになるであろう#2 QB Carson Wentzについて取り上げたいと思います。

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Wentzのトレード、その他諸々に関して

Wentzについて分析していく前に、まずはWentzのトレードに関して少し触れておきたいと思います。

今更ですが、コルツはイーグルスからQB Carson Wentzをドラフト指名権とのトレードで獲得しました。このトレードに関しては2月半ば頃に合意に達し、3月半ばに正式にトレード成立となりました。トレードの対価は、2021年のドラフト3巡+2022年の条件付き2巡。この条件というのが、「75%以上のオフェンススナップ出場」、あるいは、「70%以上のオフェンススナップに出場しプレーオフ進出」という条件を満たすと1巡へと変わる、というものです。Wentzのトレード先としては、他にもベアーズが候補として挙がっていましたが、Wentz本人がコルツに行きたいと求めていたこともあり、ベアーズはオファーは出さず。結果唯一オファーを出したコルツに落ち着きました。OL強い+旧知の仲のHC Reichの存在が大きかったのでしょう。

こうした経緯からWentzはコルツのQBとなったわけですが、コルツではWentzは背番号2番をつけるとのこと。Wentzの背番号といえば11番でしたが、すでにコルツでは11番は2020年ドラフトのルーキーWR Pittman君によって使用されていました。当然ここは11番をWentzに譲るかと思いきや、まさかのPittman君は譲らないことを公言!これに対してWentzも異を唱えることはなく、結果2番をつけることとなりました。ちなみになぜ2番なのかというと、11→1+1→2ということではないかと言われています。まさかPittmanが譲らないとは驚きでしたが、Wentz本人がいいならって感じです笑。まあ心機一転ということでそれはそれでよかったのかもしれませんね。

 

これはWentzの移籍に際してコルツ公式によって作られた動画です。めちゃくちゃかっこよくないですか?笑

 

プロフィール

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ポジション : QB

チーム : Indianapolis Colts

番号 : 2

年齢 : 28

身長 : 6-5
体重 : 237
大学 : North Dakota State

NFL 6年目

 

メットや帽子かぶってたりするとまあまあ顔かっこいいなーと思ってるんですけど、帽子とるとね…。なんか頭の部分が残念な気がしますね。アメフト選手の宿命ですね…。

 

スタッツ

Passing
Year C / ATT PCT YDS TD INT
2020 251 / 437 57.4 2620 16 15
2019 388 / 607 63.9 4039 27 7
2018 279 / 401 69.6 3074 21 7
2017 265 / 440 60.2 3296 33 7
2016 379 / 607 62.4 3782 16 14
           

 

Rushing
Year ATT YDS AVG TD
2020 52 276 5.3 5
2019 62 243 3.9 1
         

 

https://www.colts.com/team/players-roster/carson-wentz/career

 

後述しますが、Wentzは2020シーズンの出来は最悪レベルだと言われています。それはスタッツを見ても明らかで、YDS、TD数、INT数とどの項目でも前年と比べて大きく成績を落としています。また、パス成功率もキャリア全体で見るとフランチャイズQBとしては物足りないなという印象です。一方で、Rushingのスタッツを見ると分かりますが、WentzはRushingという武器を持っています。Lamar Jacksonのように走ることを最大の武器としてはいませんが、Wentzも隠れた武器として「走り」を持っています。特に'20シーズンではQBスクランブルやZone ReadのQBキープなどによってTDやビッグゲインを見せる場面が多かったです。

 

プレー特徴・分析

ここからはWentzについて私見ですが分析していきたいと思います。

まずは参考までにコルツ公式垢によってツイートされたベストプレー集のようなものを貼っておきます。

これだけ見るとスーパーQBに見えてしまいますが、これはあくまでベストプレー集であって…。特に’20シーズンはひどいプレーもそこそこ多かったですからね…。

 

さて、Wentzの長所・短所について、私は以下のように考えています。

 <長所>

・強肩

・機動力、走力

・パスラッシュをかわす能力が高い

<短所>

・無茶しすぎる(無茶投げなど)

・余裕がなくなると雑なプレーが増える

・次々とターゲットを探す能力に欠ける

・パスラッシュに対して必要以上にプレッシャーを感じてしまう

 

・長所

まずは長所について。Wentzの長所はその地肩の強さだと思います。肩が強いことによる利点は次の2つだと考えています。1つ目はよりディープにボールを投げれること。当たり前の話ですけど、肩が強ければそれだけディープにボールを投げ込めます。また、肩が強いと少ないモーションで奥に投げられるのでロングパス成功につながりやすいです。Wentzも肩が強いので、外に逃げながら一気に奥に投げ込んだりすることができます。(ただ、確かにWentzが強肩なのは間違いないですが、NFLに中で5本指に入るほどではなく、まあトップ10に入るくらいといったところだと思います。)次に2つ目の利点について、個人的に結構大事だなと思っているのですが、それはより球速の速い球を投げれることです。とりわけミドルのパスやタイミング系のショートパスでは、球速の速さも大事になります。というのは、球速の遅い球だとボールがWRに到達するのが遅く、その間にギャザーしてきたディフェンダーに即タックルされたりパスカットされたりしてしまうからです。逆に球速の速い球であれば、ギャザーされる前にRACでさらなるゲインを稼いだり、多少カバーされていてもパス成功につなげたりすることができます。また、そうした球速の速いパスを繰り返すことで、オフェンスにテンポが生まれます。この点Wentzも試合を見ているとショートやミドルのパスに対して球速の速い球を投げ込むことができています。また、球速の速い球を投げれることによって、タイトウィンドウのターゲットに対してもパスを投げ込むことができていました。コルツオフェンスは(Reich体制になってから特に)いわゆるウェスト・コースト・オフェンスを採用しています。ウェスト・コースト・オフェンスではショートのパスを確実に決め、オフェンスにテンポを作り出していくことが重要です。そのためには球速の速いパスが必要不可欠です。少し余談ですが、'20シーズンのコルツではQB Riversがあまり球速の速い球を投げることができませんでした。そのため、ショートのパスを確実に決めきれない場面も多く、その結果オフェンスのテンポを作り出せなかったことが、パスオフェンス不振の一因となってしまったと個人的には考えています。こうしたことから、Wentzの肩の強さ、特に球速の速い球を投げることができるという点は、コルツオフェンスにおいて重要な長所となると考えています。

次に2つ目の長所について、Wentzは機動力、走力も持ち合わせています。前述したように機動力や走力はWentz自身の最大の武器とはしていませんが、要所での大きな武器となることは間違いないと思います。例えば、昨シーズンのイーグルスでも使用されていましたが、WentzのZone ReadでのQBキープはオフェンスにとって要所での非常に効果的な攻め手となりそうです。また、Wentzはパスプレーの際に、その走力を活かしたQBスクランブルをオプションの1つに入れることができるので、ヤードを稼ぐチャンスを増やすことができます。

次に3つ目の長所について、Wentzはパスラッシュをかわす能力が非常に高いです。このパスラッシュをかわす・かいくぐる能力という点にのみ絞っていえば、少し誇張気味かもしれませんが、かのMahomesにも匹敵すると思っています。先ほどのベストプレー集でもそれは見られ、特に囲まれた中をかいくぐって抜けていったシーンは本当にすごいなと思いました。ちなみにWenztは'20シーズンに50回ものサックを受けていますが、並みのQBであればさらに10回ほどサックを受けていたのではないかと思います。このようにWentzはプレッシャーがかかってもエスケープしてプレーを立て直してパスを成功させたり、QBスクランブルでゲインしたりすることができます。こうしたことをできるQBは多くないので、この点もWentzの長所となります。ただ、これは後述する短所とも関連するのですが、Wentzはパスラッシュをかわした後に無茶投げをしてしまうことが多く、せっかくかわしたのに結局パス失敗、最悪の場合にはINTとなってしまうことがあります。ここが、Mahomesとの違いかなと。Mahomesはそこからきっちりと成功させてきますからね。

 

・短所

続いて、短所について考えていきます。ます1つ目の無茶しすぎるという短所について、Wenztの試合を見てとにかく無茶投げが多いなと感じました。特に'20シーズンは無茶投げが多かったです。前述した通り、パスラッシュをかわした後に無茶投げをしてしまい、パス失敗となったり最悪の場合にはINTとなってしまう場面が見られました。また、無茶なロングパスも多く、これもINTへとつながってしまう場面が見られました。おそらく'20シーズンのWentzのINT数の多さは、こうした無茶投げの多さによるところも少なくなかったのではないかと考えています。

次に2つ目の短所について、Wentzは余裕がなくなると雑なプレーが増えます。特に余裕がなくなるとパスの精度がかなり落ちているように感じました。これは1つ目の無茶しすぎるという短所と関連していると思っており、余裕がなくなると無茶しすぎてしまうがゆえに雑なプレーが増えてしまうのではないかと考えています。この点'20シーズンのWentzは最悪の出来だったと言われていますが、その要因としてこの短所が影響していると考えています。'20シーズンのイーグルスのOLはお世辞にも良いとは言えない出来で、プロテクションがガバガバで、すぐにラッシャーを漏らしてしまっていました。Wenztは50回ものサックを受け、そうでなくても常にプレッシャーを受け続けた中でのプレーを強いられていました。そうした中でのWentzのプレーを見ていて、とにかくWentzに余裕がないように感じました。その結果パスの精度が極端に落ち、判断力も鈍り、無茶しすぎてしまうためにターンオーバーも増えてしまう、こうして「最悪の出来」へとつながってしまったのではないかと考えています。そのため、Wentzの活躍のためにはいかにWentzに余裕を持たせてあげられるかが重要になると思います。

次に3つ目の短所は、次々とターゲットを探す能力に欠ける点です。しばしばWentzの短所としてボールを持ちすぎてしまう点が指摘されています。この点に関して、私はそれ自体はWentz本人以外の要因による部分も大きいと考えています。投げる前からラッシャーを漏らすOL、セパレートできないWR、そしてそもそも投げるまで時間のかかるアサイメント、などといった要因が考えられます。ただ、このボールを持ちすぎてしまうという点に関してWentz本人の要因があるとすれば、それは先ほど挙げた次々とターゲットを探す能力に欠けることによるものだと、私は考えています。ここの部分は要改善です。従来より素早く2人目、3人目のターゲットを見つけることができるようになれば、Wentzはもう一段QBとして進化できると思います。ここはReichをはじめ、コルツの指導陣の腕にかかってますね。

4つ目の短所は、パスラッシュに対して必要以上にプレッシャーを感じてしまう点です。ただ、この短所についてはあまり気にしなくても良いのかなと考えています。しっかりOLがプロテクションできていれば改善されると思っています。その点コルツOLはパスプロに定評があるのでそこまで心配していません。

このように、私なりに考えるWentzの長所と短所について上記の通りです。さて、Wenztの今後の活躍を考える上で、短所とまではいかないですが、懸念点がいくつかあります。1つ目は投げ所です。'20シーズンではパスの精度が極端に落ちたことは前述しましたが、クリーンポケットからのパスでも投げ所が悪かったなというものが多かったです。具体的には浮いた高い球が多かったです。浮いた高い球はディフェンスにカットされやすく、WRがキャッチし損ねた場合は宙に上がってINTにつながってしまう場合もあります。そのため、要改善です。2つ目の懸念点はクリーンポケットからのパスでINTが多かったことです。これは慢性的にプレッシャーを受けていたことによる投げ急ぎ、冷静な判断力の欠如によるものだと信じたいですが、いずれにせよこちらも要改善です。3つ目の懸念点は怪我耐性です。Wentzといえば怪我が多いのは事実です。ただ、昨シーズンは50サックも受けていながら大きな怪我離脱はなかったはずですから、心配しすぎる必要はなさそうです。しかし、無理をさせすぎるのは怖いのでそこら辺を上手くやっていく必要はあるかなと思います。

総じてWentzはまだまだエースQBとして活躍できる力はあると思うので、いかに全盛期の頃のパフォーマンスに戻せるか、さらにそれより進化させることができるのかが鍵となりそうです。

 

Wentzとコルツオフェンス

上記のように私個人としてはWentzを評価しているので、ここではそれらを踏まえてWentzがコルツオフェンスでどのように使われるのか、またWentz加入がコルツオフェンスにどのような影響を与えるのかについて考えてみたいと思います。

結論から言うと、Wentz加入によってコルツオフェンスはより強力なウェスト・コースト・オフェンスを組み立てることが出来るようになると考えています。Reich体制以降、コルツオフェンスにおけるパスは、より素早いタイミングで投げるパターンが多用されており、典型的なウェスト・コースト・オフェンスとなっています。既にコルツはTaylorやHinesら強力なRB陣を擁し、ランオフェンスには強みがあります。そこにWentzのようなショートに素早く投げ込めるQBが加われば、コルツのウェスト・コースト・オフェンスは従来よりも強力なものになると思います。Wentzにとっても、なるべくスローまでの時間の短いオフェンスの方が活躍出来るでしょう。また、Wentz加入によってHC Reichの好むRPOコンセプトを多用することが出来るようになります。RPOが増えれば、得意のランを活かしつつ、従来よりもテンポよくショートパスでゲインを重ねることが出来るようになるため、ランを止められると途端にジリ貧になってしまった従来のオフェンスを改善できると思います。また、課題だったRZのオフェンスもRPOやWentzのQBキープなどによって攻め手を増やすことができます。

このように、Wentz加入によってコルツオフェンスは、RPOを多用したより強力なウェスト・コースト・オフェンスを展開出来るようになると考えています。

 

私的コメント

総じてWenztの加入は、個人的には期待していいのではないかと考えています。コルツオフェンスにとっては前述のような点でプラスになると思います。一方でWentzにとっても、リーグトップクラスのOL陣に優秀なRB陣、かつ旧知の仲のHCと、コルツはこの上ない環境と言えそうです。そのため、Wentzの活躍は期待できるのではないかと思います。逆に、Wentzにとってこの1年は強く結果を求められる年になることは間違いないと思います。トレードの対価の来年のドラフト指名権はスナップ出場率が高ければ1巡にもなり得ます。つまり、結果が出せなかった場合、それでもなおWentzを使い続けてみすみす1巡を差し出すことは大損になりますから、結果が出せなければWentzはお払い箱となってしまうでしょう。控えには才能あふれる若手QB Easonがいますからね。ぶっちゃけ、コルツで活躍できなければWentzは今後どのチームへ行こうが活躍の可能性はほぼないと言っていいでしょう。

とにもかくにも、今年の3巡と来年のほぼ1巡と決して安くない対価を出して獲得しているので、Wentzには何が何でも結果を出してもらいたいなと思います。幸いにも、Wentzは結果を出すだけの力はまだ十分秘めていると思いますし、コルツはそのための環境が整っているチームであるとも思います。Wentzの加入によってコルツオフェンスを強化し、来年こそは地区優勝を目指してほしいと思います。

 

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長くなりましたが、今回は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。