コルツキングダム 〜NFLコルツファンブログ〜

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コルツ 2021シーズン中間レビュー①(総評・オフェンス編)

NFLはついにW14と大詰めに入りつつあります。W14はコルツはバイウィークなので、今回コルツのこれまでのシーズンの中間レビューをしていきたいと思います。

 

総評

7勝6敗 地区内2位 プレーオフ第9シード

なんとも言い難い成績ですね。良くもなく悪くもなくといったところでしょうか。

スケジュール全体としては、序盤こそ負けが立て込んでいましたが、W5以降は勝ち星を重ね、何とか勝ち越しすることが出来ています。しかし、地区内でみると、最大のライバルであるタイタンズに2敗してしまったのがかなり痛いです。これにより地区優勝の可能性はかなり低くなってしまいました。いい加減地区優勝してほしいところなんですけどね…。

そうなるとプレーオフ出場のためにはワイルドカード枠、すなわち第5〜7シードに滑り込む必要があります。さて、この点現状のプレーオフピクチャーは以下の通りです。

 

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2021 NFL Playoff Standings | ESPN

 

全体的にAFCは混戦の様相をなしていますが、その中で現状コルツは第9シードと微妙な位置。ワイルドカード枠に滑り込むためにはコルツが勝利を重ねることはもちろんですが、上位のチームが落ちてくることも願わなければいけません。しかし、コルツはAFC内での現状の勝率は6-3とかなり良い成績です。したがって同じ勝率で並んだ場合はコルツは有利となります。それらも加味して考えると、プレーオフ出場のためにはバイ明けの残りのスケジュールNE、AZ、LV、JAXのうち3勝はしておきたいところです。いずれも強豪相手なので決して簡単なことではありませんが。

 

さて、プレーオフ戦線の話はここまでにして、これまでのコルツのシーズン運びについてコメントしていきたいと思います。

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2021 Indianapolis Colts Schedule | ESPN

今シーズンもいつものスロースタートを発揮しており、序盤は負けが立て込んでいましたが、W4あたりから次第に好転し、その後は着実に勝ち星を増やしています。全体的にはチーム力は着実に成長しており、戦力的にも決して低くないかなという印象です。ただし、懸念点、課題は「勝負弱さ」だと思います。W4以降で負けた試合はBAL、TEN、TBですが、いずれも惜敗と言えます。BAL戦は試合序盤からリードを奪い、優位に進めていたもののパスディフェンスが崩壊して最後の最後に追いつかれてOTに持ち越まれた末に敗戦。TEN戦はゴタゴタはありつつも4Qラスト1分ほどでなんとか同点に追いつきOTへ突入するも敗戦。TB戦も序盤こそリードしていたものの、度重なるミスによるターンオーバー連発で逆転され、それでも最後まで喰らい付きましたが結局敗戦。上記いずれにおいても、得点的には惜敗と言えますし、むしろ勝っていてもおかしくない試合でした。こうしたことからもチームの戦力は決して低くはないと思います。しかし、そうした僅差の試合で勝利しきれていないため、勝負強さには欠けていると言わざるを得ません。プレーオフ出場をかけたバイ明けの4戦ではこの勝負強さが重要になってくると思いますし、仮に出場できたとしても、ポストシーズンで勝ち上がってくためには特にこの勝利強さが必要不可欠でしょう。アメフトという戦略のスポーツにこのような精神論的な話を持ち込むのは気が引けますが、個人的にはそうした要素も大切かなと思います。

それでは、以下もう少し具体的にこれまでのシーズンについてレビューしていきたいと思います。

 

オフェンス

まずはスタッツから

 

Total YDS:4785yd

Total YDS/G:368.1yd (11位))

Rushing YDS:1972yd

Rushing YDS/G:151.7yd(2位))

Passing YDS:2813yd

Passing YDS/G:216.4yd(22位))

Point:371

Point/G:28.5 (4位))

 

参照2021 NFL Team Total Offense Stats | ESPN

 

スタッツを見ればわかる通り、昨年にも増して露骨にランヘビーなオフェンスとなっています。これによりPassingのスタッツが22位ながら、Totalでは11位につけています。注目したいのがPoint。コルツは4位の得点数とのこと。これには少し驚きましたが、昨シーズン特に課題だった得点力という部分に関してはかなり改善されているようです。オフェンス全体で見ても、コルツのオフェンスは昨シーズンと比べればかなり強化されて良いオフェンスとなったと言えるのではないかと思います。

それでは以下、個人的に気になっているポイント等をコメントしていきたいと思います。

 

Taylorのランを軸としたオフェンス

上記のようにコルツオフェンスが好調な最大の要因は(ほぼTaylorのマンパワーによる)超強力なランオフェンス。Rushing獲得ヤードは2位となっています。また、昨年よりも体感12・13パーソネル(2TE、3TE)の隊形も増えている印象で、オフェンスにおいて意図してランが重視されていると言えるでしょう。

こうした超強力ランオフェンスの要は当然Taylor様です。Taylorについてはまた後述するとして、実際コルツはTaylor頼みのオフェンスであることは否定できません。しかし、Taylorを軸とすることでオフェンスが好調となっているのも事実だと思います。そこで、ここではTaylorがコルツオフェンスに与えている相乗効果について少し触れたいと思います。

 

1. Taylor+Hines

これまた体感ですが、21パーソネル(2RB)の隊形も昨年と比べて増えている印象です。これによりTaylorとHinesという2大RBがフィールドに同時にセットすることになります。この点、Hinesも優秀なRBですが、エースRBタイプというよりはウェポンタイプのRB。そのため、TaylorというエースRBの裏として起用されることで最も彼は輝くといえます。実際、TaylorをフェイクとしたHinesのランやスウィング、その他パスコースに出るプレーも多く見られ、オフェンスのバリエーションという点に関して非常に効果を挙げているように思います。そして相手ディフェンスがHinesもケアするようになると、結果表のTaylorのランが出るという、非常に良い好循環が生まれています。

 

2. Taylor+RPO

現在、コルツオフェンスではRPOが多用されていますが、Taylorという強力なRBがいることで、こうしたRPOはより有用なものとなっています。この点、後述するようにQB Wentzの加入も大きかったでしょう。個人的には、こうしたRPOはコルツオフェンスにとってかなり大きな武器となっていると思います。特に2nd, 3rd-ショートの場面で大きな武器となっていると思います。RPOにより上記のような場面での決定力は昨年よりもかなり良くなっているのではないかという印象です。

 

Wentzの加入

Wentzの加入もやはりコルツオフェンスの好調にとっては大きいです。Wentz個人に関してはまた後述するとして、ここでは彼がコルツオフェンスに与えている影響についてコメントしていきたいと思います。

結論から言えば、Wentzの加入によってパスオフェンスが昨年よりも強力となった点が大きいと思います。QB WentzになったことでRPOはじめ、クイックにショートやミドルにパスを投げれるようになりました。また、ロングのパスも積極的に狙うことができるようになりました。一時期はディープボールをぶん投げてDPIをもらってゲインするということもやっていましたが、TEN戦でのINTを機にこうした無茶投げは減ってきたなという印象です。それでもTB戦でのDulinへの1発もあり、ディープへの脅威という点に関しては昨年と比べれば遥かに改善されていると言えるでしょう。また、Wentzの脚力を活かしたBootsやRollのパスも見られるようになり、パスプレーのバリエーションは昨年と比べてかなり広がりました。さらに、Wentzはプレッシャーからのエスケープ能力が高く、自らQBスクランブルでゲインする場面も少なくありません。このように、苦しい場面でもQB自ら状況を打開出来るようになった点も昨年からの強化ポイントと言えるでしょう。まとめると、Wentz加入によって、①RPO含め、ショートやミドルのパスの成功率が上がり、②ロングパスでディープの脅威を増加させ、③脚力を活かしたBootsやRollなどパスプレーのバリエーションを増やし、④エスケープ能力やQBスクランブルで苦しい場面でもQB自ら状況を打開できるようになりました。そしてその結果、パスオフェンスが昨年と比べて強化されました。

コルツのパスオフェンスに関しては、スタッツではPassing獲得ヤードは22位と低い位置にありますが、これは決してコルツのパスオフェンスが悪い訳ではないと思います。実際、Wentzのパス獲得ヤードは2948ydで、ランキングでは10位となっています。おそらく、もともと今年はランヘビーなオフェンスな上、そのランだけである程度勝ててしまうため、パスの回数が相対的に減り、スタッツには現れにくいのではないかなと思います。

 

それでは以下では各ポジション、選手についてコメントしていきたいと思います。

 

QB 

・Carson Wentz

266-420(63.3%)/ 2948yd / 22TD / 5INT / 22 SACK

 

スタッツとしてはまずまずな印象。ただ、パス獲得ヤード2948ydは10位にランクインしており、また上述したような貢献を踏まえると、全体的には良く活躍してくれていると言えるのではないでしょうか。

ちなみに、Wentzのトレード対価に関して、ほぼほぼ来年の1巡をイーグルスに差し上げることになるでしょう。正直Wentzのこれまでのプレーについてはあまり詳しく見ていないので分からないのですが、少なくとも現状のコルツでのWentzは昨年のような暗黒期からは復活していると言えますし、1巡+3巡に見合う活躍をしてくれていると思います。今後も彼の活躍に期待したいと思います。

 

RB

エースRB Taylor様にウェポンのHinesというRBデュオはもちろん不動ですが、控えRBに関しては最近動きがありました。4番手Wilkinsは病気?を理由に休みが続き、ロースターからウェイブされました。また3番手Mackもトレード期限前までは出番がそこそこありましたが、トレード期限後は一転してヘルシースクラッチに。そして代わりに今年のドラ外ルーキーDeon Jacksonが3番手となりました。これに関しては、おそらくTaylor、Hinesの契約にお金を回し、控えRBは若手で安く済ませようという意図なのではないかと思います。

 

・Jonathan Taylor

1348yd / AVG 5.6yd / 16TD / FUM 3 / FD 86

 

昨年から活躍していましたが、2年目の今シーズンはまさに大覚醒の年。ラン獲得ヤードは1348yd。TENのHenryが怪我で離脱している今、ぶっちぎりのリーディングラッシャーです。ランでもパスでもとりあえずTaylorにボールを渡しておけば活躍してくれるため、コルツオフェンスはほぼTaylor個人軍と言われても仕方ありません。まさにTaylor様様です。

 

WR

Taylorと同期の2年目Pittmanのブレイクが嬉しい誤算でした。シーズン序盤でしばしばWentzのターゲットとなったことでコネクションが構築され、現在ではWentzとPittmanでホットラインが構築されています。また今シーズンは昨年のようなショートやミドルだけでなく、ディープでのターゲットとなったり、その体格を活かした競り合いのキャッチも見せるなど、コルツの新エースWRへと成長してくれました。正直今シーズンでここまで劇的に伸びるとは予想していなかったので、嬉しい誤算です。

また、Dulinも当初はSter枠かと思っていましたが、直近の試合ではそのスピードで存在感をアピールしており、こちらも嬉しい誤算です。

一方、TYは流石に年齢からなのか、怪我が多い印象で、従来のようなエースWRとしての活躍は厳しいかもしれません。しかしルート系のWRとしてはまだまだ頼りになる存在であることは間違いありません。

また、Campbellも良い活躍を見せていましたが、中盤で怪我でIR入りしてしまいました。

Wentzのターゲットとしては決して十分とは言えないかもしれませんが、Pittmanの存在はかなり大きいと思います。

 

TE

パスターゲットとしてはAlie-Coxは序盤から中盤にかけては活躍を見せていましたが、ここ最近は少し控えめ。昨年同様プチブレイクで終わってしまうのでしょうか。しかし、彼のブロッキング能力はパスターゲット抜きにしても必要な存在です。一方、Alie-coxと入れ替わるようにここ最近活躍し始めているのがDoyle。彼も年齢的にはベテランですが、まだまだ一線で活躍出来そうです。ここで気になるのが、今年のルーキーTEのGranson。彼はスピードやクイックネスに長けたレシービングタイプのTE。彼もここ最近スナップ数が増えており、次第に活躍を見せるようになっています。彼がより成長すれば、TEの多いヘビーな隊形からでもRPOのようなクイックなパスを展開できるようになるので、今後彼の成長と出番の拡大に期待したいと思います。

 

OL

LT Fisher、LG Q 、C Kelly、RG Growinski / Reed、RT Smithの布陣。RGはQの離脱中に控えとして出場し活躍を見せたReedがGrowinskiとローテ。しかし、ここ最近のスナップ数を見るに、スターターはGrowinskiに落ち着きそうです。

さて、プロボウラーを3人も擁する強力なOL陣がコルツオフェンスの取り柄だったのですが、今シーズンはそれにしては物足りない出来です。特にパスプロテクションが安定せず、Wentzはすでにサックを22回も浴びています。新加入のLT Fisherは前評判通りパスプロは苦手なようで、強力なEdgeラッシュー相手にはしばしばやられています。しかし、それだけでなく、C KellyをはじめIOLも精彩を欠いており、やられることが多々あります。パスプロが安定しないとパスオフェンスが厳しくなってしまうので、ここは要改善です。

 

ここまで総評とオフェンスについてレビューしてきました。思ったより長くなってしまったので、ディフェンスとスペシャルについては次回の②に回したいと思います。

FOR THE SHOE!!

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。