2020 Playoff Divisional Round 振り返り1
今週末、プレーオフの2回戦であるディビジョナルラウンドが行われました。今回は1日目の試合について簡単に振り返っていきたいと思います。(今回は勝利のポイントや戦術的な部分をいつもよりちょっと深めに掘り下げてみました。)
ラムズ vs パッカーズ
終始パッカーズがオフェンスでラムズを圧倒する展開でした。この試合のラムズのトータル獲得ヤードが244ydsなのに対し、パッカーズは484ydsと2倍近くです。
パッカーズは本当にオフェンスが上手かったなという印象。上手いというのは選手の実力もそうですが、ゲームプランやアサイメント、プレーコールが絶妙でした。パッカーズは試合前半はランでゲインを重ねました。ラムズディフェンスは2Highをメインとしており、少ない人数でランを守っているという特徴がありました。それでもDT Aaron Donaldを中心とした強力DLでランを止めていました。しかし、この試合では、パッカーズはOLがラムズDLを無力化した上、RPOなどでLBを外に広げたことで、ランを出し、オフェンスのテンポを作りました。
ラムズディフェンスは2Highメインだからもともとランディフェンスに割ける人数が少ないが、RPOやマンツーマンでLBが外に広げられて、Box内の2列目の人数が極端に少なくなった。結果ランをコンスタントに出された。 pic.twitter.com/uFC7PtxEE4
— ちりめんジャコビー (@VzEtq2cGdOUzYsE) 2021年1月18日
後半、ラムズはランディフェンスの人数を多くしましたが、これに対してパッカーズは待っていましたと言わんばかりに58ydsのロングパスを成功させ、TDを獲得しました。このように、パッカーズはランに割ける人数が少ないというラムズディフェンスの弱点を上手く突いたゲームプランで試合の主導権を握ったことで勝利に繋がりました。ただ、これはDLを無力化できなきゃ成り立たないプランなので、パッカーズのOLの強さが光りました。また、パスプロテクションにおいてもラムズDLをサック0に抑えています。そして、パッカーズQB Aaron Rodgersも絶妙なプレーを連発し、実力の高さを改めて見せつけられました。
また、パッカーズオフェンスのアサイメントもよく工夫されていました。
.@tae15adams doing what he does best.
— Green Bay Packers (@packers) 2021年1月16日
TOUCHDOWN! 🙌
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例えばこのプレーは、モーションをさせることでラムズCB Ramseyのマンツーマンを振り切っています。上手い!
一方、パッカーズディフェンスは少しやられた印象です。ラムズQBゴフの調子が良かったこともありますが、少しパスでゲインされてた印象です。とはいえ要所で締めていました。
パッカーズは選手•スタッフ双方の実力を併せ持った、第1シードに相応しい総合力の高さが光りました。来週はこれまたディフェンスの良いバッカニアーズが相手です。バッカニアーズ相手にどのようなオフェンスを展開するのか楽しみです。
レイブンズ vs ビルズ
レイブンズ 3 - 17 ビルズでビルズが勝利!
この試合は思った以上にロースコアゲームになって驚きでした。両チームとも非常に良いディフェンスでした。レイブンズディフェンスがビルズを抑えるのはある程度予想していましたが、ビルズディフェンスがレイブンズのオフェンスをたったの3点に抑えるとは思いもしませんでした。
ここまでビルズディフェンスがレイブンズのオフェンスを抑えられたのは、以下の2つの要因だと考えています。
まず1つ目は、ビルズのDLがレイブンズのOLを押し込み、LOSを割っていけたことです。レイブンズのオフェンスはよくGやOTが飛ぶ(プルアウトやキックアウトする)という特徴があります。それゆえにダブルチームを組みづらく、OLとDLの1対1のブロッキングが多くなります。そうした際に、ビルズのDLがレイブンズのOLを押し込んだり、LOSを割っていったりしたことで、レイブンズのプレーに対してLOSの奥でプレッシャーをかけることができました。また、パスラッシュでもかなりプレッシャーをかけており、レイブンズオフェンスを苦しめました。
2つ目の要因は「攻めのディフェンス」です。この試合では、ビルズディフェンスは1列目の人数を増やしたり、積極的にブリッツをかけたりと、前々のディフェンスを多く敷いていました。
ビルズの勝因は「攻めのディフェンス」だと思う。1列目の人数を増やしたり、積極的にブリッツをかけたりして、前々のディフェンスを敷いた。多少パスは通されたけど、ランを封じてレイブンズのオフェンスをジリ貧にさせた。そんなビルズディフェンスの中から個人的にいくつかピックアップしてみた。 pic.twitter.com/HYQMBpoapm
— ちりめんジャコビー (@VzEtq2cGdOUzYsE) 2021年1月18日
ランを止めるためには前に人数を増やす、というのがディフェンスの定石です。一方で前に人数を増やせば、パスを通されやすくなるリスクも生じます。ビルズはこの「攻めのディフェンス」により、パスは多少通されましたが、レイブンズの主軸のランをしっかりと止めて、ランを打ちづらくさせました。そうなると、レイブンズはパスを選択せざるを得なくなりましたが、QB Lamar Jacksonはパスでヤードを刻むのが得意ではなく、ビルズDLのプレッシャーもあり、パスでゲインを重ねることが出来ませんでした。その結果レイブンズオフェンスはジリ貧となってしまいました。さらに、EZ手前のPick6で勝負をほぼ決定付けました。
逆にこのINTしたDBは、しっかりQBとターゲットの間に下がって、QBの目線や肩の動きに素早くリアクション出来てて、DBとして完璧なINT。 https://t.co/0rK2Y3G73g
— ちりめんジャコビー (@VzEtq2cGdOUzYsE) 2021年1月17日
ビルズオフェンスは、前半はレイブンズのマンツーマンのハードなパスカバーにかなり苦戦していました。しかし、そんな状況でもQB Josh Allenが冷静にプレーを続けて、後半序盤のシリーズで追加点の獲得に成功しました。
この試合は、ビルズディフェンスのランファーストのゲームプランが大きな勝因となりました。前回のコルツ戦も同じくランファーストのディフェンスで勝利に貢献しています。一方で、来週はパス主体のチーフスが相手です。パス主体の相手にはビルズディフェンスがどのようにアジャストするのか楽しみです。
まとめ
今回は、ディビジョナルラウンドの1日目の試合について、少し掘り下げながら振り返りました。次回は残りの2試合を取り上げようと思います。
それでは今日はここらへんで。最後まで読んでいただきありがとうございました。ではまた!